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テーマパーク プロローグ1



【学校 廊下】

それは、とある放課後のこと。

サトコ
「よいしょ、よいしょ···っと」

(うう···資料、重たいなぁ)
(でも、これくらい筋トレだと思えばどうってこと···)

ドンッ!

サトコ
「うわっ!」

バサバサバサッ!

(ああ、資料がっ!)

???
「すみません、大丈夫でしたか!?」

サトコ
「大丈夫です。そちらこそ···」
「あ、黒澤さん!」

黒澤
ああ、サトコさんでしたか。おつかれさまです

黒澤さんはニッコリ笑うと、一緒にしゃがみ込んで資料を拾ってくれる。

サトコ
「あっ、いいですよ、そんな···」

黒澤
気にしない気にしない。これくらい手伝わせてくださいって
それに、ちょうどサトコさんに用があったんです

サトコ
「私にですか?」

黒澤
ええ、これを渡したくて

(あ、テーマパークのチケット···)

サトコ
「これを私に?」

黒澤
はい。残念ながら、俺は行けないんです

サトコ
「えっ、どうして···」
「ああ、これ···今度の日曜日限定のチケットなんですね」

黒澤
そうなんです。だからサトコさんにあげようと思って
サトコさんなら一緒に行く相手もいるでしょうし

サトコ
「えっ···」

黒澤
実はこれ、『ペアチケット』なんで
もう1枚は『カレ』に渡しておきますよ

サトコ
「!?」

(か、『カレ』!?)

黒澤
ああ、でもどうせならサプライズにしたいから···
ペアの相手はサトコさんだって伝えない方がいいかな

サトコ
「あ、あの···」

黒澤
というわけで、当日まで『カレ』には内緒にしてください
ひとまず日曜日9時に入場ゲートに集合ってことで。それじゃ

サトコ
「待って、黒澤さん···!」

(···行っちゃった)
(『カレ』って、たぶん『あの人』のことだよね)
(おかしいな、付き合ってることは内緒のはずなんだけど···)

サトコ
「···ま、いっか」

(とりあえず、今度の日曜日の朝9時···)
(パークの入場ゲート前に行けばいいんだよね)


【テーマパーク入口】

そんなわけで日曜日。

(入場ゲートはここだよね。『あの人』は···)

???
「氷川?」

???
「なにキョロキョロしてやがる、クズ」

(えっ‥)

2つ重なった声に、私は驚いて振り返る。
けれども、驚いているのは私だけではなくて···

後藤
加賀さん?

加賀
後藤?テメェがどうして···

(ど、どういう···)

東雲
あれ?

颯馬
おや、これは···

石神
···どういうことだ?

(ええっ!?なんで教官たちが揃って···)

サトコ
「あの···これはいったい···」

後藤
俺は黒澤からチケットをもらったんだが···

加賀
奇遇じゃねぇか、この野郎

東雲
オレも透からです

石神
『とにかく行けばわかる』と···

颯馬
サトコさんもですか?

サトコ
「は···はい、まあ···」

(本当は『カレ』と2人きりだと思ってたんだけど···)

お互いの間に、微妙な空気が漂う。
それを破ったのは、後藤教官のため息だった。

後藤
どうやら黒澤のイタズラのようですね

石神
くだらん。そういうことなら俺は帰らせてもらう

後藤
俺もそうします

サトコ
「え···えっと···じゃあ、私···」

加賀
お前は俺と来い、クズ

サトコ
「うわっ」

加賀
中に入るぞ

後藤
待ってください、加賀さん
これは黒澤のイタズラで···

加賀
そんなこと、俺の知ったことじゃねぇ
朝っぱらからこんなところまで呼び出されて、なにもしねぇで帰ってたまるか

東雲
とか言って···
兵吾さんはただ単にテーマパークで遊びたいだけだったりして···

加賀
なんだと、歩

(なんだか、おかしな雰囲気に···)

颯馬
サトコさん、こっちです

サトコ
「えっ」

颯馬
彼らは放っておいて、私と2人で中に入りましょう

サトコ
「で、でも···」

石神
待て、颯馬
行くならあいつらを止めてからにしてくれ

颯馬
お断りします。今は業務外ですので

加賀
おい、そこの2人!抜け駆けするつもりか

石神
俺は違う

颯馬
私はそのつもりですが

後藤
周さん!?

加賀
いい度胸してるじゃねぇか。この俺を出し抜こうとは···

(ど、どうしよう。こうなったら···!)

サトコ
「みなさんで入りませんか?」


【テーマパーク内】

後藤
······

石神
······

加賀
チッ···

東雲
あー怠ー

颯馬
たまにはいいですね、テーマパークも

サトコ
「は、はい···」

(どうしよう。この気まずい雰囲気···)
(楽しそうなの、颯馬教官だけなんですけど)

颯馬
おや、あれは···

なにかに気付いたのか、颯馬教官が私に耳打ちしてくる。

颯馬
サトコさん、あの屋台を見てください
どうやらアレが、パーク名物の『キャラ耳』のようですね

サトコ
「キャラ耳···?」

颯馬
このパークのキャラクターの『つけ耳』のことです
ほら、そこにも···それからあそこにも···
『キャラ耳』をつけた人たちがいるでしょう

(言われてみれば、たしかに···)

颯馬
というわけで、貴女の出番です
『キャラ耳』をつけて皆を盛り上げてください

サトコ
「私がですか!?」

颯馬
ええ、もちろん
さ、いってらっしゃい

(そんなので本当に盛り上がるのかな)

内心、半信半疑だったものの、私は『キャラ耳』を1つ購入する。

そして···

後藤
氷川、どこへ行っていたんだ

サトコ
「すみません。ちょっと買い物を···」

颯馬
さあ、サトコさん。皆にお披露目してください

サトコ
「わかりました。それじゃあ···」

私は、買ってきたばかりのゾウの『キャラ耳』を頭につけると···

サトコ
「ぱ···パオ~ン···」

後藤
···?

加賀
······

東雲
うわー

石神
『鼻』じゃないのか?

サトコ
「えっ」

石神
ゾウの特徴は鼻だ
ゾウを演じるなら鼻をつけるべきだと思うが

サトコ
「す、すみません···」

(ていうか、明らかにダダ滑りなんですけど···)

颯馬
大丈夫です。可愛かったですよ

サトコ
「はぁ···」

颯馬
というわけで私たちも『キャラ耳』をつけましょう

東雲
は?

加賀
くだらねぇ

後藤
本気ですか、周さん

颯馬
もちろんです。『郷に入っては郷に従え』というでしょう
さあ、サトコさん。皆にこの『キャラ耳』を配ってください

(颯馬教官、いつの間に全員分を···)
(そして、どうしてこんなにも浮かれてるんだろう)

色々思うところはあったものの、私は教官たちに『キャラ耳』を配った。

(あとは『カレ』に渡すだけだよね)

私が『カレ』に渡した『キャラ耳』は···

<選択してください>

A: キリン
サトコ
「颯馬教官には『キリン』を···」

颯馬
フフ、キリンですか
似合いますか?

サトコ
「はい。思っていた以上に」

颯馬
それはよかった
せっかくなら服も合わせたかったですね

サトコ
「えっ」

颯馬
黄色のスーツを着ていれば···

(ゲッツ!)
(じゃなくて···意外とコスプレ好きなのかな、颯馬教官って)

B: ウサギ

サトコ

「後藤教官には『ウサギ』を···」

後藤
···どうしてもつけないとダメか?

サトコ
「お願いします、ぜひ」
「私1人だと、その‥恥ずかしいので···」

後藤
······
···ど、どうだろうか

(か、可愛い···!)
(って言ったら怒られそうだけど、可愛い!)

C: ライオン

サトコ
「加賀教官には『ライオン』を···」

加賀
毛が少ないな

サトコ
「毛?···あ、たてがみのこと···」

加賀
······

サトコ

「す、すみません、なんでもありません」
「それより、どうぞつけてください」

加賀
チッ···
···これでいいか

(落ち着いて···落ち着いて、サトコ)
(たてがみがカツラみたいなんて思っちゃダメ)

加賀
おい···

サトコ
「似合ってます!とても似合ってます!さすが百獣の王!」

加賀
···ふん

D: 女豹

サトコ

「東雲教官には『女豹』を···」

東雲
え、カチューシャタイプ?
髪が乱れるんだけど···

サトコ
「そう言わずに、ぜひ!」

東雲
···ま、いっか
あー怠···

(女子!?女子なの!?)
(原宿にいそうなんですけど!こういう女子高生)

E: ヒツジ

サトコ
「石神教官には『ヒツジ』を···」

石神
···暑そうだな

サトコ
「すみません。でも、その···」
「今年の干支ですし」

石神
···あまり気が進まないが
······

サトコ
「···確かに暑そうですね」

石神
ウールだからな

颯馬
では、そろそろ移動しましょうか
サトコさん、まずはどこに行きたいですか?

サトコ
「そうですね。じゃあ、無難に···」


【コーヒーカップ】

後藤
···『無難』で選んだのが『コーヒーカップ』か

石神
たしかに年齢制限のないアトラクションだが···

東雲
すみません。オレ、パスで
4人乗りみたいだからいいですよね

石神
それなら俺も···

後藤
いえ、石神さんは乗ってください。俺が遠慮します

石神
いや、俺もそれほど乗りたいわけでは···

後藤
いえ、ここは年齢順で···

颯馬
では決まりですね
加賀さんはもうスタンバイしてるので、私たちも行きましょう

石神
···ああ

後藤
氷川、少しいいか?

サトコ
「はい、なにか···」

後藤
周さんにはハンドルを握らせない方がいい
いいか、絶対にだ

サトコ
「は、はぁ···」

東雲
それを言うなら兵吾さんも要注意ですけどね
ま、せいぜいがんばって

サトコ
「わ、わかりました···」

(どういうことだろう。なにかあるのかな)

数分後‥

サトコ
「きゃああああっ」

石神
···っ

颯馬
フフ、いい風ですね

加賀
貸せ、颯馬。次は俺だ

サトコ
「ダメ···ダメです。加賀教官···っ」
「きゃああああっ」

加賀
やるじゃねぇか、颯馬

颯馬
加賀さんこそ、見事なハンドルワークでした

石神
······

サトコ
「······」

東雲
···だから言ったのに

後藤
大丈夫ですか、石神さん

石神
あ···ああ···問題ない

颯馬
では次のアトラクションに移動しましょう
サトコさん、ご希望は?

サトコ
「えっと···ゆっくり歩けそうなところが···」

颯馬
そうですか。それなら···


【お化け屋敷】

女性
「きゃあっ!」
「いやぁっ、来ないでーっ」

(まさかの「お化け屋敷」···)
(たしかに、ゆっくり歩けそうではあるんだけど···)

女性
「いや、怖いーっ、助けて!」

男性
「バカ、これくらい大丈夫だって」
「ほら、手つないでやるから」

女性
「あ、ありがとう···」

(···前のカップル、すごく盛り上がってるなぁ)

東雲
キミも悲鳴くらいあげたら?

後藤
遠慮しなくてもいいぞ

サトコ
「いえ、遠慮ってことは···」

(そもそも前後左右に教官たちがいて、何も見えないっていうか···)

加賀
左斜め前方に人がいるな

颯馬
おそらくお化け役の方が待機しているんでしょう

(···仕掛けもことごとくバラされるし)

石神
いったん止まれ
前方の2人組が立ち止まっているようだ

東雲
えー面倒くさ···
さっさと追い越しましょうよ

後藤
そう言うな。歩
少しくらい待てばいいだろう

東雲
どうせイチャついてるだけですよ
『イヤ、怖い』『大丈夫、俺がついてる』···
あーアホくさ

グゥゥゥ~

東雲
···誰、今の

後藤
俺じゃない

石神
俺でもない

サトコ
「私も違いますけど」

加賀
······

颯馬
ここを出たらお昼にしましょうか
いいですよね、加賀さん

加賀
···チッ

to  be  continued

※プロローグ2へ



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