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本編③カレ目線 津軽10話

事件が解決して数日。

女性警官A
「津軽さん、恋人の噂はウソだって聞きました?」

女性警官B
「そうですよね~♡よかった♡」

津軽
まあね~

(確かに、付き合ってはないしね)

勢いと不可抗力で知ってしまった互いの気持ち。
今は気持ちを把握するのが精一杯で、現状維持。
俺にはまた、いつも通りの日常が戻り始めた。

サトコ
「······」

津軽

向こうからウサが歩いてくる。

(また隠れんのかな。それともヤキモチ妬いた目で···)

反応を楽しみに思いながら、近づいていくと。

サトコ
「お疲れさまです」

津軽
え···

笑顔でペコッと頭を下げてすれ違っていく。

津軽
······

(なに、今の···俺のこと好きなんじゃなかったっけ?)
(おいおいおーい···)

チラッと振り返ることもしない背中。

女性警官A
「津軽さん?どうしたんですか?」

津軽
···用事思い出したから、先行ってて

(やっぱ俺の勘違いだったとか)
(急激に冷めたとか!?)

カッコ悪いのは分かっていたけど。
その背を追いかけた。

津軽
君さ······
俺のこと、その、アレ···だよね?

サトコ
「アレって何ですか?」

津軽
アレはソレでアレに決まってんじゃん

2人きりの給湯室。
ウサの逃げ場をなくすために、壁についた両手で囲ってしまう。

サトコ
「あの、ちゃんと言ってもらわないと···」

津軽
だ・か・ら!
···君は、俺のこと
ーー···なんだよね?

『好き』って言葉だけは、どうしても言葉にできなくて。
それでも文脈と空気から何とか分かってくれたようだった。

サトコ
「急に追いかけて来るから、何かと思えば···」

フーッと息をつきながら、ウサはソワソワした様子でコクリと頷く。
頬も耳もほのかに赤くなっていて、ウソをついている様子はない。

津軽
さっきの俺、見たよね?

サトコ
「え、廊下を歩いてるところですか?」

津軽

サトコ
「ちゃんと挨拶しましたよね?」

津軽
だーかーらー、そこじゃなくて
フツウさ、もっと拗ねたりとかさ?あるじゃん?
女の子にちやほやされてたんだよ?君の······な人が

サトコ
「つまり···妬いてないことに文句言ってるんですか?」

津軽
別に···ほんとに妬いてないなら、いい···けど···

サトコ
「はぁぁ···めんどくさい人ですね···」

津軽
······っ

(そうだよ、すんげーめんどくさいよ!)
(でも、それが俺だって言ってくれたじゃん!)

津軽
だから、傍にいてあげなくちゃーーなんでしょ

サトコ
「······ずるい」

ウサがむいっと唇を尖らせた。

(あ、かわい)

サトコ
「···手、出してください」

津軽
まさか俺にお手、させる気?

サトコ
「出したくないなら、それでもいいですよ」

津軽
なーんか、力関係微妙になってない?

言われるままに壁についていた手を下に降ろすと。
ペタンと手の甲にハンコが押された。

津軽
『がんばりましょう』?

サトコ
「そういうことです」

俺が首を傾げているその隙に、ウサは腕の中から抜けていた。

津軽
なんで、そんなハンコ持ち歩てんのよ
ていうか、『大変よくできました』は?

サトコ
「まだ早いですよ」

えっへんと胸を張るようにして、彼女は楽しそうに笑っている。
とっても幸せそうな顔。

(ドかわいい···)
(このままどっかに閉じ込めたろか)

両想いでも、俺たちは恋人じゃない。
世間一般の恋人という肩書がない、淡すぎる関係。
お互いが『好き同志』なんて、いつまで続くのかーー
どこにいってしまったのかわからないモノの数々のように。
君もいつか、見つからないどこかに消えていくのだろうか。

Happy End

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