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今日は彼に甘えちゃおうキャンペーン プロローグ



【カフェテラス】

桜の花を心待ちにする季節。
公安学校も世間と同じく卒業ムードかというと···

訓練生1
「そろそろ決まる頃だよね」

訓練生2
「ああ、卒業後の配属先のこと?」

訓練生3
「教官たちは何も言わないし···どうかな」

訓練生1
「裏で相談してるに決まってるよ。全然顔に出さないけどさ」

卒業を控えためでたさはどこへやら、不安と期待の入り混じった囁きがあちこちから聞こえてくる。
いつも元気な鳴子も私の隣で深いため息をついた。

鳴子
「はぁ···」

千葉
「さすがの佐々木も気になる?」

鳴子
「そりゃそうだよー」
「この時期、ちょっと憂鬱だね。落ち着かないっていうかさ···」

サトコ
「うん···」

鳴子
「1ヶ月も待たせないでさ、バシッとその場で返事してほしいよね!」

(···ん?)
( “1ヶ月” 、 “返事” って···)

サトコ
「鳴子もしかして、ホワイトデーの心配してる?」

鳴子
「うん、そうだけど?」

千葉
「···えっ!?」

鳴子
「そりゃ配属先も気になるけど、私たちが心配したって仕方ないじゃん」
「それより、チョコをあげた人からどんな返事が来るか···」
「付き合えるのか付き合えないのか、そっちの方が100倍大事!」

千葉
「佐々木らしいな」

サトコ
「アハハ、そうですね」

鳴子
「ってことで」
「 “困った時の神頼み” !」

私たちの苦笑をよそに、鳴子は勢いよく雑誌を開いた。
熱心に読んでいるページを横から覗き込む。

( “ホワイトデー対策!恋の占い&おまじない特集” ···)
( “カレを夢中にさせる!パヒュームdeフェロモンまじない” )
( “必勝!カレの♡を巻き取るパスタまじない” ···鳴子、本気?)

鳴子
「サトコも一緒にやろうよ。ホワイトデーに備えてお願いしたいこと、あるでしょ?」

千葉
「えっ」

サトコ
「わ、私はいいよ」

鳴子
「ダーメ。ほらほら、1つ選んで!」

最後は鳴子の勢いに押し切られ···

サトコ
「じゃあ···コレ」

鳴子
「あっ、いいねー。お互い頑張って願いを叶えようね!」

サトコ
「う、うん···」

(おまじない···かぁ)
(ちょっと乙女すぎる気もするけど···どうしよう)


【寮 自室】

鳴子に言われるまま記事をスマホのカメラで撮った、その夜。

サトコ
「ティーポットで淹れた紅茶の茶葉を乾かして」
「願い事を書いた紙と一緒に袋に入れて、枕の下に滑り込ませる···と」
「······」

少し迷った末に、紙と茶葉を入れた袋をそっと枕の下に置く。

(これでよし)
(おまじないなんて気休めだけど)
(素敵なホワイトデーになるように願うくらい、いいよね···?)

そろそろ寝ようかという頃、ドアがノックされた。

コンコン

サトコ
「?」

(誰だろう、こんな時間に)

サトコ
「はーい」

ガチャッ

ドアの向こうに立っていたのは···?

<選択してください>

後藤誠二

加賀兵吾

石神秀樹

難波 仁

颯馬周介

東雲 歩

黒澤 透



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