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欲しがりカレシのキスの場所 颯馬3話

颯馬
······かわいい

呟いた颯馬さんは、丸見えのおでこを指先でスッと優しく撫でた。
その感触と艶っぽい笑みに、背中がゾクリとする。

颯馬
イメージチェンジですか?

サトコ
「デ、デートの前に、トリートメントだけしようと思って美容院に行ったんですけど···」

颯馬
わざわざデートの前に

サトコ
「···綺麗な髪で会いたかったので」

傷んだ毛先を切った方がいいと言われ、お任せしたことを正直に話した。

サトコ
「でも···前髪をちょっと切られすぎてしまって···!」

颯馬
ちょっと···ですか

笑みを浮かべたまま、颯馬さんは私の短い前髪に触れる。

(···わかってます、ちょっとどころじゃないです···)

再び恥ずかしさが増すも、手首を掴まれたままで隠すことも出来ない。

颯馬
ヘアバンドをしていたのは、このおでこを隠すため?

サトコ
「···」

颯馬
隠すことないのに

呟くと同時に、丸見えのおでこにキスを落とされた。

サトコ
「···!」

颯馬
ヘアバンドスタイルも似合ってたけど
こんな可愛いおでこ、出し惜しみしたら勿体ない

サトコ
「で、でも···!」

(やっぱり恥ずかしい···!)

キスで颯馬さんの力が緩んだ隙を狙い、掴まれていた手を引き抜いて再び前髪を押さえる。

颯馬
ずっとそうしてるつもり?

怪しい笑みを浮かべると、颯馬さんはいきなり私を抱き上げた。

(きゅ、急になに!?)

訳も分からないまま、寝室へと運ばれた。

颯馬
頑なだね

ベッドに降ろされるも、おでこから手を離せない。

(だ、だって···やっぱり見られたくない···!)

颯馬
それじゃあ、サトコはそのままね

サトコ
「···?」

意味が分からずにいると、颯馬さんはプチプチと私のパジャマのボタンを外しだした。

サトコ
「え、あ、ちょ···」

颯馬
···

咄嗟に颯馬さんの手を止めようとすると、ニヤリと笑われた。

颯馬
前髪、いいの?

サトコ
「!」

うっかりおでこから手を離してしまったことに気付き、ハッとする。

(よくない!!)

慌てておでこに手を戻すと、今度はまたボタンを外される。

(おでこを隠せばボタンを外され、胸元を押さえればおでこが全開···)
(どうしたらいいの!?)

颯馬
このパジャマもすごく似合っていて可愛いのですが
盆栽柄をも上回る可愛さ···さすがですね

露になったおでこを見て微笑まれ、また慌てておでこに手を当てる、とー-

颯馬
隙あり

サトコ
「···っ」

胸元に熱いキスを落とされ、もうおでこを隠してる余裕もなくなってくる。

颯馬
隠さずにもっと見せて。おでこも、この身体も···

サトコ
「あっ···」

あれよあれよとパジャマを脱がされ、おでこはもちろん、全身に甘いキスが降り注いだ。

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(はぁ······)

心地良い疲労感と共に、颯馬さんの腕枕で一息つく。

颯馬
激し過ぎましたか?

サトコ
「い、いえ···」

颯馬
サトコの可愛い顔がいつもよりしっかり見えるから、ついね

嬉しそうに言われ、また恥ずかしさが再燃してくる。

(なんか···いつもよりさらに自分をさらけ出してしまった気分···)

颯馬
隠さないで

無意識にまたおでこに手を当ててしまうと、そっとその手を剥がされた。
そしてそこに、そっと小さなキスをしてくれる。
そのキスはおでこを隠され、まぶた、鼻先、頬、唇へと下りてくる。

サトコ
「ん···」

キスは段々と深くなり、再び甘い世界へと引き戻されていく。

颯馬
今日はなんだか得した気分です

サトコ
「え?」

颯馬
サトコの可愛さを存分に感じられて

サトコ
「そんなこと···」

颯馬
いつもと違う髪型で現れた瞬間だけでも、十分すぎるほど可愛かった
なのに、更に可愛い顔を見せてくれるなんて

おでこを撫でるようにして短い前髪をかき上げ、颯馬さんはもう一度キスを落とす。
そして今度は、自分のおでこをそこに当てた。

颯馬
俺のおまじないもこれならやりやすい

おでことおでこを合わせるおまじない。
颯馬さんが私に勇気や力をくれる時にしてくれる行為だ。

サトコ
「ふふ、本当ですね。おでこを出してるのもいいのかも」

颯馬
自信を持って出してください

(自信までは持てないかもしれないけど···)

颯馬
少なくとも恥ずかしがることではないですよ

サトコ
「···はい」

素直に頷くも、やっぱりどこか気恥ずかしい。

颯馬
ふっ、ほんと可愛い

照れて熱くなったおでこに、何度も優しいキスが落とされた。

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サトコ
「じゃあ、先に行きますね」

颯馬
気を付けて

翌朝、時差登庁の為私が先に出ることに。
玄関先にある鏡を覗き込み、身だしなみを最終チェックする。

(前髪は相変わらず短いけど···)
(颯馬さんは自信を持ってって言ってくれたし、恥ずかしがることはないよね···!)

颯馬
今日もツヤツヤの綺麗な髪ですよ

サトコ
「はい。では、行ってきます」

颯馬
行ってらっしゃい

いつもは唇にされる行ってらっしゃいのキスも、今日はおでこにしてくれた。

サトコ
「おはようございます···!」

前髪問題も無事国クリアし、気持ちよく挨拶しながら課に入るとー-

津軽
ん?

黒澤
あれ~?

津軽さんと黒澤さんが、にま~っと嬉しそうな顔をして近付いてきた。

サトコ
「な、何ですか···?」

津軽
どうしたの~、その髪型

黒澤
流行りですか~?

(はっ!)

反射的に前髪を押さえると、ふたりの顔はさらににんまりと崩れていく。

津軽
思い切ったね~

黒澤
ほんと、攻めてますね~

(うぅ、前髪問題、全然クリアできてなかった···!)

颯馬さんの優しい言葉にほだされ、その気になっていた自分が恥ずかしい。

(もうこれは、恥ずかしさの上塗り状態···!)
(こ、この難局をどう乗り越えれば···)

ニヤニヤ感が止まらない二人の前で、前髪を押さえたままどうすることもできない。

(こうなったらもう、開き直るか···はたまた逃げ出すか···)
(さあ、どうする私···!)

颯馬
ちょっとよろしいですか

(え···)

自分で自分に決断を迫っていると、時差で登庁してきた颯馬さんが現れた。
前髪を押さえたまま固まっている私の横を通り過ぎ、津軽さんと黒澤さんの前へ突き進む。

颯馬
今のはハラスメントに当たりますね

津軽

黒澤
しゅ、周介さん、朝からそんな怖い顔しないでくださいよ~

颯馬
自覚がないようですが、ここにしっかりと証拠は収めてあります

にこりともしない颯馬さんは、ポケットからボイスレコーダーを取り出した。

黒澤
ひっ!ろ、録音されてる···

津軽
まぁまぁ周介くん、落ち着いて

颯馬
私の知り合いに優秀な弁護士がいますので、そこへ行きましょうか
よろしいですよね、石神さん

石神
···

石神さんは無言のまま目を伏せた。

黒澤
い、今のは···

颯馬
許可が下りたと私は判断します

津軽
いや、ちょ···秀樹くん!なんとか言ってよ

石神
···

颯馬
さあ、行きましょうか

黒澤
ひ、ひーっ!!

津軽
···悪かった!

(えっ···)

颯馬さんが黒澤さんの首根っこを掴んだ瞬間、津軽さんが私に向かって頭を下げた。

津軽
傷つけちゃったなら謝る。ごめんね、ウサちゃん

サトコ
「あ···」

黒澤
サトコさん、ごめんなさい···!

(さすが颯馬さん、こんな風に私を助けてくれるなんて)
(やっぱり誰よりも素敵でデキる彼氏だな···)

サトコ
「大丈夫です。私はこの髪型、気に入ってますから」

頭を下げる津軽さんと黒澤さんに、堂々とおでこを見せて言った。
そんな私を見て、颯馬さんは僅かに目元を緩める。

颯馬
良いと思いますよ。時には攻めた髪型も
私もまた伸ばそうかな

元ロングヘアの颯馬さんは、冗談っぽくも優しく微笑んだ。

Happy End

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