カテゴリー

欲しがりカレシのキスの場所 颯馬カレ目線

サトコ
「お待たせしました···!」

颯馬
私も今来たところですよ

待ち合わせ場所に現れた彼女に微笑みかけるも、一瞬違和感を覚えた。
だがすぐにその違和感の正体に気付く。

颯馬
今日はいつもと髪型が違うんですね

サトコ
「あ···」

驚きとも照れともいえるような顔で、彼女は自分の髪に触れる。

(デート用に髪型を変えてくるなんて、可愛いことをしてくる)

これまでも、デートと言うものをしてきた女性の髪形の変化に気付くことはあった。
けど、わざわざそれをくちにしたことなどない。
そんな俺が、サトコにだけは自然と言葉にしてしまう。

颯馬
お似合いですよ

心からそう思い、その変化を嬉しく感じる自分がいる。

サトコ
「···ありがとうございます」

(そういう少し困ったような顔も、本当に愛おしいよ)

半額あたりまえ!お得なクーポンサイト「くまポン」

(たまには買い物メインのデートもいいものだな)
(サトコはとても楽しそうにしていたし、俺も楽しかった)

彼女の服を一緒に選び、自分の買い物にも付き合ってもらい、非常に満足している。

(あの盆栽パジャマを着た彼女を早く見てみたい)

颯馬
このパジャマ、早速今夜着て見せてくれますか?

サトコ
「え···」

我慢できずに聞いてみると、少し驚いたような顔をされた。

(まあ、泊って欲しいと言っているようなものだからな···)

誘い方を失敗したかと思ったが、サトコが快く頷いてくれホッとする。

サトコ
「激レアパジャマ、私も着るのが楽しみです」

颯馬
きっと可愛いですよ

(きっとじゃない。可愛いに決まってる)
(このパジャマを見つけた瞬間、俺はそう確信した)

颯馬
あ、このパジャマはそのまま私の家に置いておくということでいいですか?

サトコ
「え···あ、はい」

颯馬
節約のため、私の家に泊まる機会も増えそうですしね

『買いすぎた』と反省していたサトコに、まるで救いの手を差し伸べるかのように微笑む。

(貴方のためになるなら、いくらでも泊めてあげるよ)
(もちろん俺のためでもあるけどね)

(うーん···さっきまであんなに楽しそうにしていたのに···)

彼女が風呂に入っている間、悶々と考え続ける。

(家に着いた途端よそよそしくなったのは、気のせいか···?)

一緒に風呂に入ろうという誘いも、あっさり断られてしまった。

(それも、笑って誤魔化すようにして···)
(···これは何かお仕置きが必要かもしれないな)

モヤモヤが募り、つい意地悪な気持ちを膨らませていると、彼女が戻って来た。

サトコ
「お待たせしました。お先にいただきました···」

颯馬
では、私も入ってー-

モヤモヤを隠すように微笑もうとしたものの、思わず眉間に力が入る。

(その手はなんだ?)
(熱でもあるのか···?)

なぜか額に手を当てて出てきたサトコを、じっと見つめてしまう。

颯馬
どうかしましたか?

サトコ
「ちょっと暑くて···」

颯馬
のぼせました?

サトコ
「いえ、大丈夫です···!」

彼女は少し慌てた様子でタオルを被った。

(怪しい···何か変だ···)

そう思いつつも、俺は敢えて笑みを浮かべる。

颯馬
そうですか。では、私が風呂に入ってる間、ゆっくり涼んでいてください

目を付けた容疑者を泳がせるかのように、サトコの前から立ち去った。

アマゾン

颯馬
明らかにおかしい···

一人バスタブに浸かり、帰宅してからのサトコの様子を振り返る。

(よそよそしくなったのは···手洗いをしに洗面所に行ってからだからな)

鏡に映る自分をジーッと見つめていた姿を思い出す。

(何か悩みでもあるのか?)
(昼間の様子ではそんな印象はなかったが···)

ショッピングを楽しむ姿は、いつもと変わらない明るく元気なサトコだった。

(パジャマのプレゼントも喜んでくれて···)
(いや、実はあの盆栽柄に不満がある···?)
(一緒に風呂に入るのを断ったのは、この腹いせ?)
(いや違う。サトコはそんな幼稚なことをする子じゃない)

颯馬
俺みたいに···

思わず自嘲を込めて呟いた。

(風呂を断られたからといって意地悪したくなる俺···)
(幼稚どころか、小さい男だ···)

颯馬
お待たせしました

サトコ
「···おかえりなさい!」

モヤモヤを残したまま風呂から出て来ると、サトコはまた額に手を当てた。

(何なんだ一体···)
(そんな焦ったような顔をして···)
(そこに何がある?転んで傷でもつけたのか···?)

颯馬
何を隠してるんです?

心配にもなってきた俺は、思わず彼女の手首をつかんだ。
勢いでそのままソファーに押し倒してしまうも、サトコはまだ額から手を離さない。

(どこまで焦らすつもりだ···)

颯馬
隠し事は好きじゃない

サトコ
「あっ···!」

頑なに離そうとしないその手を、強引に引き剥がすとー-

(なっ···)

そこに現れたつるんとしたおでこに、思わず目を見張った。

(か、かわいい···)

湯上りということもあり、まるでゆで卵のように愛らしい。

(これを隠していたのか?)
(なぜ隠す···こんなにも可愛らしいおでこを)

見惚れるように見つめてしまい、サトコは困惑したように顔を赤らめる。

(ほんのりピンクに染まるゆで卵···ますます可愛い······)

サトコ
「えっと、あの···これは···」

颯馬
······かわいい

サトコ
「えっ···?」

思わず呟くと、サトコは驚いたように俺を見返した。
聞けば美容院で前髪を切られ過ぎてしまったという。

颯馬
こんな可愛いおでこ、出し惜しみしたら勿体ない

サトコ
「で、でも···!」

恥ずかしがるサトコは、再び額に手を当て短い前髪を押さえた。
その必死な姿が可愛くて、ますます心をくすぐられる。

颯馬
ずっとそうしてるつもり?

意地悪な気持ちはいつしか悪戯心に変わり、戸惑う彼女を抱き上げた。

(悪いけど、もう我慢できそうにない)

アマゾン

颯馬
そしたら、サトコはそのままね

ベッドに運んでも頑なに前髪を押さえ続けるサトコの、パジャマのボタンを外していく。

サトコ
「え、あ、ちょ···」

(ふふ、やっぱりそうなるよね)

彼女はとっさに胸元を隠そうとし、いとも簡単に可愛いおでこが現れる。

颯馬
前髪、いいの?

サトコ
「!」

ハッとして再び前髪を押さえ、今度は胸元が無防備になる。

(はは、なんていう可愛さだ)
(萌え死にしそうっていうのは、こういう時のことを言うんだな)

おでこと胸元を交互に押さえる仕草がとてつもなく可愛くて、つい何度も繰り返してしまう。

(でももう限界。そろそろいいね?)

颯馬
隙あり

サトコ
「···っ」

我慢できず、露わになった胸元に熱いキスを落とした。
誰のものでもない、俺だけのサトコであることの証を残すために。

颯馬
隠さずにもっと見せて。おでこも、この身体も···

サトコ
「あっ···」

可愛いおでこを出して甘い声を漏らす彼女を、思う存分愛した。

翌朝ー-

サトコ
『な、何ですか···?』

少し時間をずらして登庁すると、課内から警戒するような彼女の声が聞こえた。

(何だ···?)

嫌な予感がし、そっとドアを開けて中を覗き込む。
念のため、ポケットの中で小さなスイッチをオンにしてー-

アマゾン

津軽
どうしたの、その髪型

黒澤
流行りですか~?

サトコ
「っ!」

ニヤついた2人が、サトコの前髪をからかっていた。

(俺の彼女に何してくれる···)

何度も『可愛い』と囁いたせいか、晴れ晴れとした顔で出掛けて行ったサトコ。
その笑顔が、今また困惑と羞恥に歪んでいる。

(心醜い男たちのせいで···)

津軽
思い切ったね~

黒澤
ほんと、攻めてますね~

サトコ
「······」

(これはハラスメント以外の何物でもない)
(ちょうどいい···)
(以前から何かしらで訴えようと思っていた奴らだ···)

颯馬
ちょっとよろしいですか?

ポケットの中のボイスレーダーを握り締め、俺は真っ直ぐに二人の男の前に突き進んだ。
誰よりも愛しくて大切な、俺だけのサトコを守るためにー-

Happy End

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする