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幸せ自転車デート

ある平日の休みの日。
久しぶりに午後まで家の中でゴロゴロしていると。

津軽
『今すぐマンション前に集合』

サトコ
「!?」

津軽さんからLIDEが着信した。

(今すぐ!?部屋着で髪もぐしゃぐしゃなんですが!)

『10分待ってください!』と返事をすればーー

津軽
『5分でよろ』

前より3分縮んでる!!

サトコ
「はっ、はあっ···お待たせ···しました···」

津軽
5分14秒。遅刻~

サトコ
「ご、5分台ですよ!6分になってなければ遅刻じゃないです!」
「というか、どうして最近、時間制限があるんですか···」

津軽
んー、婚約者になるための訓練?

サトコ
「!!??」

(0日婚の次は婚約者のための訓練!?)
(津軽さんの脳の中では、何が怒ってるの!!??)

そして混乱は津軽さんが跨るものに拍車をかけられる。

サトコ
「···なんで自転車に乗ってるんですか?」

津軽
駅前でシェアサイクルのサービス始まったでしょ

サトコ
「それは知ってますが···」

津軽
この頃ハマってるウニ味噌ジャムが隣町の業務スーパーにしか売ってなくてさ
業務スーパーって車で行くと駐車場待ちとかになるじゃん?
だからチャリで行こうと思って

サトコ
「そう···ですか。いってらっしゃい」

(私は見送りのために呼び出された??)
津軽
いってらっしゃいじゃなくて。ウサも一緒に行くんだよ?

サトコ
「私、自転車持ってません」

津軽
駅前で借りてこ

サトコ
「でも、駅前までは···」

津軽
俺は自転車だから、ウサは走りだね

サトコ
「!?」
「ど、どこの訓練ですか!」
「2人乗りできないのはわかりますが、こういう時は自転車押して一緒に歩きません!?」

津軽
えー、せっかく自転車借りたのに乗らないなんてもったいないじゃん
これくらい訓練生の時に比べたら楽勝でしょ
さ、出発進行~!

サトコ
「ちょ、待ってください!本気ですか!?」

津軽
マジマジ。ウサちゃんだって、俺と青春デートしたいでしょ

サトコ
「そりゃしたいですけど!」
「これ、どっちかっていうと部活の···鬼指導的なものですよ!?」

津軽
鬼指導ならウサギ跳びさせてるよ

走り始めた津軽さんを追いかける。

サトコ
「はっ···はあっ···半分行ったら交代してくださいね!」

津軽
どうしよっかなー

夕陽が彼を照らしている。
夕焼けの中で彼が笑っているものだから。
この状況も悪くないのかもしれないと···気が付けば私も笑顔で全力疾走していた。

Happy End

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